「冷蔵庫にゼリーがあるから食べて」
「ゼリー?」
「そう。いらなかったら捨てていいから」
「捨てないよ! せっかく聖夜くんが持って来てくれたのに!」
「……あっそ」
あれから薬を飲んで少し眠ったおかげで、顔色は良くなってきた。
俺が来たせいで悪化させたら悪いと思ったけど、回復に近づいて安心した。
19時になるのになかなかこいつの親は帰って来ない。
大分日が長くなって来たから空はまだ明るいけど。
「あんたの親、今日何かあんの?」
「分かんない。私が寝てる間に行ったから」
「ふーん」
あ、会話が無くなった。
部屋はシンと静かになる。
何か話題、話題……。
「……聖夜くん」
「え、なに?」
あいつは眠たそうに目を擦る。
「少し……眠くて。寝てもいいかな?」
そんなの、俺に許可取らなくていいのに。
良くなって来ても本調子じゃないよな。