「さつき、早く良くなってね」
「え、あの、瑞希、」
「見送りはいいからね。ばいばい」
「あ、あの、うん。来てくれてありがとうっ、あの、でもね、ねぇ、」
バタン―――ドアが閉まり、あいつが伸ばした手は届く事は無かった。
部屋の中は静まって、硬い笑顔で俺に振り向いた。
「せ、聖夜くんも……帰っていいんですよ……?」
はあ。
俺に対して敬語はなおらないの?
「あのさ」
「は、はいっ」
睨んだつもりは無いけど、俺の目を見て身体をビクリと震わした。
目を閉じため息を吐き出してベットに近づき、あいつの額を軽く押した。
「うわっ」
枕に頭が落ちる。
「あんたさ。敬語、やめろって言ったでしょ」
「あ……う、うん」
……たく。
敬語なんてもう使うなよ。
ビビらせたいなんてこれっぽっちも思ってないんだから。
