「あ……聖夜くん……ありがと……」
「病人は寝てろ」
ベットに連れて寝るように促す。
机にはお茶の入ったペットボトル。
———それと、あの男の写真。
それを見た瞬間、何故か苛ついた。
「あのね、今日はさつきのお見舞いに来たの。リンゴ食べられる?」
「すりおろしなら……」
「台所借りるね。持って来てあげる」
瑞希はリンゴを持って立ち上がり、部屋を出た。
自然と無言になる。
「……ねぇ」
声をかけると、チラリと俺を見た。
「“悠二”には言ったの? 体調悪いこと」
「……言えない」
言ってないのかよ。
言えないって、心配させたくないとか?
そんなの、甘えたっていいのに。
離れてるんだからそれくらいいいと思うけど。
