2年生になってから学校に来たことが無かったから、昇降口に着いた瞬間、帰りたい衝動に駆られた。
身体が教室に行くのを嫌がってる。
身体というより、心が。
「……そこ、退いてくれない? 邪魔なんだけど」
パッと振り向くと、焦げ茶の髪で目のぱっちりした男の子が立っていた。
「ごめん、なさい……」
右に避けてあげるとその人は「はぁ」と息を吐き出して、上履きを取り出し去って行く。
同じ下駄箱だったから、同じクラスだったのかな。
重たい足取りで階段を上がって、自分のクラスの前に立つ。
事前に先生が教えてくれたけど、ここで間違いないよね。
でも違ってたらどうしよう。
いや、例え合っててもクラスの人達に変な目で見られたら怖い……。
手が、ドアを開けようとしない。
心の中では「早く開けてしまえ!」って思ってても、臆病な私が手を動かさない。
そうやって葛藤していると、急にドアが開いた。