「熱だって」


「熱?」




この前も風邪で休んだのに。
どんだけ身体弱いんだよ。




「ねね、放課後、さつきの家に行かない?」


「は?」


「お見舞い、行こっ。聖夜部活してないんだし、いいでしょー?」




まあ、そうだけど。
この前あいつの家行ったから、場所は分かる。




「まあ……いいけど」


「やったぁっ」




そう言ってまた俺の首を締めるように抱きついた。
じめじめして気持ち悪いんだから、抱きつくなっつーの。




「セーイ」




教室の入り口から、俺を呼ぶ声がした。


明るい茶色の髪を立てて、制服を着崩して両脇に派手な女子を連れたそいつは、俺を見つけるとへらへらした笑顔で女子と別れて教室に入って来た。




「海斗(かいと)」