そのとき、パーカーのポケットに入ってた携帯小さく鳴った。
画面を見ると、瑞希から。
【今日来ないの? 体調崩した?】
あ、そっか。
理由を言ってなかった。
【熱が出ちゃったの】
あまり画面を見てられなくて、少ない文章になっちゃった。
送るとすぐに返事は来た。
【大丈夫!? ゆっくり身体を休んで寝なさい!】
ふふっ。
寝なさいって、お母さんみたい。
そのうち名前を呼ばれて、診察室の中に入った。
「たぬき先生、こんにちは」
「おぉ、さっちゃん。こんにちは。先月会ったのに、また来たんだね」
たぬき先生―――谷川先生。
たぬきみたいなお腹だから、ここに通う子供達は先生の事をそう呼ぶ。
私も小さい頃から通ってるからそう呼んでる。