「また来るから。何かあったら携帯で教えて」
「うん」
バタン―――ドアが閉まる。
あーあ、休んじゃった。
今月テストあるのに。
授業についていけてないのに、ますます分かんなくなっちゃうよ。
瞼が重くなってきて、意識が朦朧とする。
「さつき」
この声……もしかして。
ハッと、身体を起こす。
部屋のドアの前には、変わらない姿で愛しい人が立っていた。
どうして……?
なんで……?
震える唇で、彼の名前を呼んだ。
「……ゆうちゃん……」
嘘、嘘、嘘。
「さつき」
ゆうちゃんへと駆け出して、勢い良く抱きついた。
ゆうちゃんだ。
ゆうちゃんが、ここに居る。
あぁ、こんなの、信じられないよ。