「お、お財布……忘れちゃいました……」




か細く小さな声で、泣きそうに言い放った。




「はあ!?」




えぇっ!?
予想的中じゃん!!


俺は店員に聞こえないよう小さな声で言う。




「は、はあ!? あんたそれ本気で言ってんの!?」


「ごごごめんなさいぃぃ!!」




信じらんねー!!


自分から奢るって言ったくせに!
鞄の中チェックしてから言えよ!


はーと大きくため息を吐く。




「あ、あの……?」




気まずそうに俺達に声をかける店員。


待たせるのも悪いと思い、財布から960円ちょうど出してレシートを受け取らずにあいつの腕を掴んで店を出た。