「ゆうちゃんとね、約束してるの。結婚しようって」




———……っ!!




「け、結婚!?」


「私はゆうちゃんを愛してるから、他の人なんて目に入らないよ」




駄目だ、もう無理。


動かなかった足が嘘みたいに動く、動く。
がむしゃらに走って、いろんな人とぶつかった。


それでも走る。


“私はゆうちゃんを愛してる”


俺と歳の変わらない奴が、“愛してる”なんて言うんだ。


よくドラマとかで使う、どこか軽くて安っぽい言葉。
実際に聞くと、どこか重みがあってずっしりと乗っかった。


そんな風に人を好きになれるって、凄いな。


忘れろ忘れろ。
俺はただ、あいつの調子が悪くなったのに気づいて、ベットに寝かしただけ。


それ以外は何も知らない。


そう思ったら、心が少し軽くなった気がした。