「う……っ、うん」
ぎこちないその返事に自然と口角が緩む。
こうやって、少しずつでも距離を縮めて行けたらいいな。
「よく出来ました」
そっと頭に手を乗せて、繰り返し撫でる。
小さい頭に、滑らかな髪の毛。
どうしていいか分からなそうに混乱してるけど、そんな様子を無視しながら頭を撫でてやる。
そのとき、ベットのカーテンが勢いよく開いた。
「ちょっと!? 何2人で仲良くやってんの!?」
「瑞希っ」
勢い良く近づいて来て、頭を撫でてる俺の手を力一杯掴む。
「……なに?」
「聖夜は出て」
「は?」
「早く!」
俺の背中をグイグイ押して、保健室から追い出すと大きな音を立ててドアを閉めた。
……ったく。
何怒ってるんだよ、あいつ。
ドアを開けようと引くけど、開かない。
鍵かけたな。
はあ、ため息を吐いてドアに縋(すが)ると中から小さく話声が聞こえた。