いつも俺の前ではオドオドして、俺の機嫌を伺うような顔しかしなくて。
瑞希と居る時はちゃんと笑ったりしてるのに、俺には一度も見せてくれない。




「……なんで俺と話す時、敬語なわけ?」


「え、なんですか急に」


「急にじゃないし。昨日も言ったし」




そう言うとまた口をゴモゴモさせながら、言いにくそうに言った。




「だって……その、怖い、です」


「怖い? なにが?」


「……聖夜くんが。いつも不機嫌そうな顔してるから……」


「あー……」




原因は俺か。
不機嫌そうな顔って、今更ニコニコするのも変だし。




「あのさ。俺は元々こういう顔なの」


「……はい」


「だからさ、あんたが慣れてよ。俺も意識して出来るだけ不機嫌そうにしない様、頑張るからさ」


「……はい」


「“はい”じゃなくて?」