「や、ちょっと……! 見ないで!」
恥ずかしげに長い髪の毛で顔を隠す。
そんな仕草も胸がキュッとして、自分の制服の袖で顔を拭いてやる。
「ちょ、痛っ、痛いよっ。雑だしっ」
うるさい、黙れ。
こんなのした事無いんだから、加減なんて分かる訳ないだろ。
大体拭き終わったと思い、両手で包み込むように顔に添えた。
「……っ、」
う、わっ。
こいつ、いつも下ばかり見て俺と目なんて合わせてくれないから、ちゃんと見たことなかったけど……。
「あ、の……? な、なな、何を……」
ハッとして顔から手を離す。
「いや……ちゃんと涙拭けてたか確認してた」
「そう、ですか。……あの」
「なに?」
今度はなんだよ、と思い言い方がキツくなる。
「顔……赤い、ですよ?」