ベットで寝ている女が、泣いている。
俺はそいつの頭を繰り返し撫でた。


そいつは声を押し殺すように、静かに泣く。


……泣く程、そいつが好きなのか。


逢いたいなら逢いに行けばいい。
そう安易に考えてしまうけど、簡単じゃないのかもしれない。




「……聖夜くん、ごめんなさい……」


「なにが?」


「もう、なんか……いろいろと。保健室連れて来てくれたり、撫でてくれたり」




……素直なところ、あるじゃん。


俺と話すといっつも敬語だし、俺と目を合わせようとしないくせに。
しかも俺の事”悪魔”なんて言うし。


そんな事言われたの、初めてだっつーの。




「いいよ、別に。奢ってもらうの高い奴にするから」


「えぇ~。それは困るな……」




俺はそっと近づいて、顔を覆っている手を掴んで顔から離した。




「うひゃあっ!?」




涙で濡れている顔。
目も赤いし、鼻も赤い。


不意に、その泣き顔にドキッとした。