「……泣いてんの?」
「……っ、ちが、」
やだやだ。
近づいて来ないで。
泣いてる顔、不細工だから見られたくないの。
「……そんなに、好きなんだ」
好き。
好きなの、大好きなの。
けど、そんなこと、この人に言ったって、今が変わる訳じゃない。
それに、誰にも覗かれたくない。
宝物は決して誰にも見られないよう、蓋を閉めて、鍵をして、ずっと奥深くに抱きしめておくの。
そっと、聖夜くんが頭を優しく撫でた。
何度も、何度も。
あぁ、この手が。
この手がゆうちゃんだったら———良かったのに。
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