「さつきを助けてくれてありがとう」
「いえ。じゃあ、俺、帰りますから」
「せ、聖夜くん、ありがとう、ございました……!」
靴を履き終わった聖夜くんは私を見て、気のせいだったかもしれないけど、微かに笑った。
「お邪魔しました」
そっと音を立てないようにドアを閉めると、その場が少しシーンとした。
「……かっこいい、男の子ね」
小さな声で呟いたお母さんのその声に瑞希ちゃんは反応して、興奮気味に詰め寄った。
「ですよねー!? 彼、学校でも凄く人気あるんですよぉ〜! かっこいいし、頭もいいし、運動も出来るし!! 無愛想に見えるけど、優しいし!!」
「そうなの。本当にかっこいいわね。ね、さつき」
「えぇっ!?」
にこりと笑って私に振る。
た、確かにかっこいいとは思うけど……。
「……ゆうちゃんの方が、かっこいいもん」
ゆうちゃんは私の特別な人。
誰もゆうちゃんには勝てないよ。