「ゆうちゃんっ、ゆうちゃんっ!」




小さい頃、近所に住む2歳年上の男の子と遊んでいた。
ゆうちゃんこと、悠二(ゆうじ)くんと私の家は30秒くらいの距離で、親同士の仲が良かったことがきっかけで仲良くなった。




「さつき、そんなに急ぐと転んじゃうよ。ほら、手を握って」




優しく微笑んで、少しかがんで差し出された手は、凄く温かかった。


春は公園の桜を観に行き、夏は近くの海に行って、秋は山でたけのこ掘りをして、冬は雪遊びをした。
ゆうちゃんの家に泊まることも多く、ほぼ毎日一緒に居た。


そして何年か経つと、私とゆうちゃんは恋人になった。


同じ気持ちで一緒に居れることが嬉しくて、ゆうちゃんの笑顔を見るだけで幸せで、毎日が楽しかったけど、あっという間になくなってしまった。