分からない。
こういう時、何て言っていいのか。
小さな声で話している筈なのに、聖夜くんの声が大きく聞こえる。
先生の声なんて、全く聞こえない。
その時タイミングよくチャイムが鳴って、号令がかかった。
何を言っていいの分からないのに聖夜くんに何か言わなくちゃと思って声をかけようとしたけど、聖夜くんは教科書をロッカーにしまいに行った。
立ち上がりかけてた身体を座らせ、俯いた。
やっぱり、この人苦手だ。
「さつきちゃん? どうしたの?」
上から声がして、顔を上げると瑞希ちゃんが居た。
「瑞希ちゃん……」
泣きそうな声で瑞希ちゃんにさっきの出来事を話す。