じわっと瞳が潤む。 これくらいで泣いちゃ駄目。 涙を堪えて席に座る。 「ん」 横目だけで見ると、聖夜くんが消しゴムを手のひらに乗せて差し出していた。 「あんたのでしょ?」 「……あ」 意地悪してたんじゃ、ないの? 「めんどくさくて足で蹴って移動させてから取ったから、少し汚いかも。あ、一応拭いたからね」 あぁ、そうだったんだ。 意地悪じゃなかったんだ。 「あ、ありがとう、ございます……」 「ん」 受け取って消しゴムを見る。 自然と口元が緩んだ。