「……」
「あの……」
「……」
……無視?
絶対聞こえてる筈なのに、全然こっち見ない。
なんて嫌な奴なんだろう!!
瑞希ちゃんは優しいって言ってたけど、全然違うじゃん!
自分で取ろうと思い、椅子を後ろに引いて立ち上がろうとした。
けど、私が彼の机の下に手を突っ込んで、足許にある消しゴムを取る姿を想像したら恥ずかしかったからやめた。
もう、本当にこの席やだ。
せめて隣が女子だったら良かったな……。
仕方ない、自分で取ろう。
立ち上がって聖夜くんの足の近くにある消しゴムに手を伸ばした、その時。
「……え?」
聖夜くんとぱちりと目が合い消しゴムに気づいてくれて、取ってくれるのかな、なんて期待したら。
私の席とは反対に足で消しゴムを蹴った。
な……っ!?
なんて酷い人なの!?
私ばかりそんなことするなんて……嫌われてるのかな。