「へっ!?」
「うざい」
「ご、ごめんなさい……」
大きな瞳を鋭く細め、睨むような目で言う。
“うざい”
そんな言葉……初めて言われた。
「なに? 何か用でもあるわけ?」
「い、いえっ! あり、ありません……っ」
「はあ?」
はっきり申し上げると、私のお隣の方は怒ったような声を発した。
「ならいいけど」
すぐに前を向いて聖夜くんは黒板に視線を戻した。
こ、怖かった……。
ホッと息を吐いた時、手が消しゴムに当たってコロコロと落ちていった。
消しゴムが止まった場所は、聖夜くんの足許。
ど、どうしよう!!
「取って」って頼むべきなのかな!?
それとも自分で取るべき!?
「あ、あの……っ」
出来るだけ小さな声で聖夜くんに話しかける。