良い訳ないし!
さつきの家を教えたくない。
俺の秘密にしておきたい……って、瑞希は知ってるけど。
「来ないで」
ハッと、瑞希を見る。
身体の横で両方の拳をギュッと握って、俯いていた顔を上げてはっきりと言う。
「海斗くんは来ないで!!」
いつもの明るい瑞希じゃない。
顔を赤くして、海斗を睨みつけている。
「……なんで?」
そんな瑞希とは反対に、海斗はニコニコ余裕そうに笑う。
「来て欲しくないの!」
「どうして? 俺だってさっちゃんの友達だよ?」
「……っ、」
「セイ、いいよね?」
「……あぁ」
一瞬、海斗の笑顔が怖いと思った。
笑顔なのに、変な威圧感があってふざけてる海斗じゃなかった。
「もしかしてさ、瑞希ちゃん」
一歩、瑞希にその笑顔のまま近づく。
「な、に……」
掠れた声を出して、瑞希は一歩後退した。
そんな瑞希を許さなかったのか、腕を掴んで引き寄せた。
顔を、耳元に近づける。
「俺のこと、まだ好きなの?」