担架に運ばれて行った、さつき。
急に倒れた時は、何が起こったのか分からなかった。


俺が言った言葉の何かが引き金になってしまったんじゃないかと、怖くて仕方なくて声をかける事しか出来なかった時に――――。


“好き”


心臓が、止まるかと思った。
頭の中は真っ白になって、もうパニック。


でもその言葉は俺に言ったんじゃないと気づいた。
……俺と、“悠二”が、重なったのかな。




「……さつき、大丈夫かな? やっぱり、体調良くなかったのかな……」




いや、俺のせいだ。
海斗と親しくしてるのが気に入らなくて、嫌がらせみたいに問いつめて。
……俺って、幼稚だ。




「……」




ちゃんと謝ろう。
そう思って携帯の画面を見て、気づいた。


俺、さつきの連絡先知らないじゃん!