教室はざわついて、聖夜くんは私の身体を揺さぶる。
今までに見た事のないくらいの慌てっぷり。


苦しい。
こんなに吸ってるのに苦しくて、視界が朦朧としてくる。




「さつき!!」




離れた席から瑞希が駆け寄ってくれて、身体に手を当てる。
でも何を言ってるのか分からなくて、先生が何か叫んでいる様子とか、クラスの動揺とか遠くから聞こえているような気がした。


「大丈夫」って、言わなくちゃ。


注目されてるなんて恥ずかしいし、そんな騒ぐ事じゃない。
でもまともに息が吸えなくて、言葉を言う余裕がない。


せめて、せめて、聖夜くんには言っておこう。
そう思って聖夜くんの手を力ない手で掴んだ。