チャイムが鳴って、席に戻る。
すぐに先生は入って来て、授業が始まった。
先生が片手に教科書を持ちながら黒板に書いている時、ポツリと聖夜くんは話しかけてきた。
「あんたさ」
「え?」
授業中あまり話さないから、急に話しかけられて驚いた。
聖夜くんは顔と声からしてなんだか不機嫌そう。
それが怖くて、目を見れない。
「……他の男に愛想振り回して、楽しい?」
「……え?」
な、なに?
なんで怒ってるのかも分からないし、言葉の意味も分からない。
「ヘラヘラ笑ってさ。何なの?」
私、怒られてるの?
なんで?
どうして聖夜くんは怒ってるの?
頭の中が真っ白になって、何も言えない。
「“悠二”が、居るくせに」
「っ、」
……よく、分からない。