「またね、さっちゃん」
「うん」
「早く教室に戻れ」
しっしっ、と海斗くんを手で追い払うと、首を私に向けて睨みつける。
身体は跳ねて、その目が怖くて聖夜くんから視線を逸らした。
なんか、聖夜くん怖い。
なんで怒ってるんだろう。
「な、なんでしょうか……」
「……別に」
そう言ってすれ違い様に私の頭を勢い良くワシャワシャと撫でる。
な、なに!?
髪ぐちゃぐちゃだし!
「さつき、くし貸してあげる」
「あ、ありがとう」
瑞希からくしを借りて、ボサボサになった髪の毛をとく。
「さつき長いんだから、くしくらい持っておかないと」
「うーん、そうだね」