―― 二〇二九年 八月二十六日 日曜日 ――

 機械仕掛けのような平日を乗り切り、土曜日の掃除、洗濯、買い出しを終えた翌日、ようやく日曜日が訪れた。

 仕事と雑務に追われた一週間を、今週も投げ出さずにやり遂げたのだ。


 今日は結弦に会える。

 大好きな結弦のもとへ行き、たくさん話をしよう。

 今週はいつも以上に怒られたから、少しくらい愚痴を言うのもいいかもしれない。

 だって結弦は、わたしがどんな話をしても、いつだって静かに聞いてくれるのだから。


 彼方に入道雲を携えた八月の蒼穹は、照りつける太陽に後押しされるように澄んでいる。

 結弦の待つ部屋までは歩くと四十分ほどかかってしまうが、のんびりとした散歩を兼ねたこの時間が、わたしは好きだ。

 いつものコンビニでおにぎりをふたつとお茶を一本買って、結弦が待っている部屋へと向かった。

 自動ドアを二枚抜けてエントランスを早歩きで通り過ぎ、そのまま通路奥にあるエレベーターへ乗り込む。

 慣れた手つきでボタンを押すと、目的の階層へ着くまでの間に服のしわをさっと手で伸ばした。

 間もなくしてピンポンと音が鳴り、エレベーターの扉が開いた。