そういえば、病室で聞こえた結弦の声……。

 結弦はわたしに、なにを伝えたかったんだろう。なにを謝りたかったんだろう。

 右手に持ったふたりへの手紙。それを見つめて、くすりと笑みがこぼれた。


「謝るのは、きっとわたしのほうだよ……」


 さよならも告げずに一方的にいなくなるわたしを、結弦は許してくれるかな? なに勝手なことしてるんだって、叱ってくれるかな?


 わたしは今まで、なにを求めて生きてきたんだろう。


 ひとりで生きていく強さだろうか。結弦との愛だろうか。それとも遙さん達からもらったような、家族のぬくもりなのだろうか……。


 今となっては、もうわからない。