私がシャワーを浴びている間に縫い終わったのか、私が浴室の扉を開くと桃色のワンピースを持ったアリアが扉の前に立っていた。

「はい、これを着て。」

彼女は私にワンピースを渡す。

「ありがとうございます。」

私がワンピースを受け取り、お礼を言うと、なぜかアリアは不機嫌そうな顔をする。

「後、私の方が年下だし、タメ語で良いよ。」

「うん、ありがとう。」

生まれて初めて年の近い女の子と家系なしに、友達みたいに話せて、嬉しくて、心が温かくなった気がした。
私は渡されたワンピースを着た。

「似合っているわよ。
今から朝食の準備をするのだけれど、手伝ってくれない?」

「喜んで手伝うわ。」

私たちは台所に行った。
台所には冷蔵庫と言われる冷風の吹く箱や、ガスコンロと言われるボタンを押すと火が出る鉄の板があった。

「これから役に立ちそうだからあげる。」

アリアは私に色々な料理の作り方が書いてある本を渡した。

「貰っちゃって良いの?」

「貴女料理とか出来なさそうだし、これから役に立つと思うから、貰ってくれた方が安心できるから。」

残念ながら数回しか料理を作った事がないのも事実なので、私は素直に料理の作り方が書いてある本を貰う事にした。

「ありがとう。」

「喜んでもらえて嬉しいわ。
私はお兄ちゃんとデリックさんを呼んで来るから、ソフィアさんはここで待ってて。」

アリアはそう言い台所を出て行った。

☆☆☆☆☆☆☆

「これが家の鍵で、これが俺が書いた新国への移住許可証、これが俺が書いた身分証明書で、これが形態電話。」

レオンは説明しながら俺にこれらの物体を渡す。

「お前がそんな大事な書類を書いて大丈夫なのか?」

「大丈夫、大丈夫。俺、新国では結構上位クラスの人間だから、めっちゃ名誉の高い人間だから。」


「彼の言動や行動からはそうは思えないが...」

俺の返事を無視してレオンは続ける。

「この携帯電話で俺と連絡を取ったり、地図を見たり、写真を撮ったりする事が出来るよ。
ちなみに写真って何か知ってるよね?」

「それくらい知ってる。都心で最近使われ始めた道具だろ。」

俺は彼の少し馬鹿にしたような感じの言葉にイライラしながら答えた。

「でも、この携帯電話で撮る写真はあんなのと違って数秒で撮れるから便利でしょう。」

「そうだな。」

「それと、最後に鞄。
破けにくいし、鍵が無いと開かないし、運びやすいよ。」

「ありがとう。でも、こんなに貰ってしまって良いのか?」

「何を今更言ってるんだ、俺たちの仲だろう。
それに、新国にある俺の領地に着いたら、俺の代理人としてそこを納めて欲しいしさ。」

「ありがとう。」

俺はこんな良い友を持つ事が出来た事を幸運に思い、レオンに心から感謝した。

「アリア、そこに居るんだろ?
入って来て良いよ。」

レオンが扉の向こうに向かって言うと、アリアが扉を開けて入って来た。

「ごめんなさい。盗み聞きをするつもりは無かったのだけど、部屋に入るタイミングが見つからなくて...」

「別に気にしてないよ。
聞かれて不味い事も言ってないし。
それより、何でここに来たの?」

「あ、はい!朝食の支度が出来ました。」

彼女は今まで忘れていたのか、思い出したかのように言った。
俺たちは台所に向かう。
椅子に座って俺達を待っているソフィアを見ると思わず頬が緩んだ。

「これが最初で最後の四人での朝食になるね。」

「そうだな。」