小鳥のさえずりと使用人のメアリの声で今日も目が覚める。

「起きてください、お嬢様。もう朝ですよ。もうじきオリバー様がご到着なされます。」

「本当!」

ソフィアは嬉しそうにに起き上がる。
彼女はお気に入りの紅色のドレスを着せられ、母親譲りの薄い桃色髪も前髪やくせ毛を白いお花のピンでメアリにとめて貰っい、紅色の薔薇の付いたヒールのある靴を履いた。
そして、仕上げにオリバー様に貰った赤薔薇のピアスとそのピアスとお揃いのブレスレットとネックレスを着ける。

「お嬢様、朝食の準備が整いました。」

もう1人の使用人が扉をノックして、私の寝室に入り、伝えて来た。

「分かったわ。」

私は部屋を出る。
廊下には赤い絨毯が敷いてあり、壁には有名な洋画や御先祖様の絵画、そして、お母様とお父様と私の絵画が掛けられている。
そして、所々に騎士の甲冑や、綺麗な花瓶が飾られている。

皆さん、もうお気付きでしょうか?
そう、私はこの洋国の王に使える第五公爵が一人アレクサンドル ド ミロンヌ公爵の娘なのです。

「お母様、お父様、おはようございます。」

私は食卓に着く。

「「おはよう、ソフィア」」

お母様の髪は私と同じ薄い桃色で、瞳の色は緑だ。
お父様の髪は金色で、瞳の色は水色だ。
私の瞳の色はお父様譲りだ。

この屋敷は森に囲まれていて、何か仕事がある時はお父様は何週間も帰って来れないから、家族三人で食事をするのは久しぶりだ。

「明日から、また屋敷を離れる。」

「あら、つい先日帰って来たばかりじゃない。」

「怪しい集団が動いていると言う情報が入ってな。
なかなか尻尾が掴めない。」

「最近世の中物騒ね。」

そう、最近色んな事件を起こしている妙な団体が居るらしいの。
そして、事件が起きた場所には大きな目が描いてあるらしい。

「ごちそうさまでした。」

私はそう言い席を立つ。

「もう、良いの?」

「はい、もうお腹いっぱいです。」

「何処に行くんだ?」

「屋敷の近くの森に行きたいと思っています。」

「そうか、なら、デリックと行きなさい。」

お父様は使用人に彼を連れてくるように命令した。

「私は一人でも大丈夫です!」

「駄目だ。もし、何かあったらどうするんだ!」

「はい、分かりました。」

私はお父様に強い口調で言われ、渋谷返事をした。
デリックは私の幼馴染であり、従者だ。
もし、私がどこか屋敷の外に出る時はいつもついてくる。
彼の両親は亡くなっていて、お父様が彼を10年前屋敷に連れて来た。
彼が賢いのも、剣の腕に長けているのも知っているが、彼が意地悪で生意気なので、ついいつも喧嘩しまっていた。
そして、その後いつもレディーは喧嘩しないと怒られていた。
そう言えば、最後に喧嘩したのは去年の秋だった。

「お呼びでしょうか、旦那様。」

藍色の短い髪と瞳を持ち、藍色の服を着て、マントを羽織った。
ソフィアと同じ年の少年デリックがお父様の前に跪く。

「娘と一緒に森に行き、彼女の護衛を頼みたい。」

「はい、必ずお嬢様を守ってみせます!」

私達は馬小屋に向かった。
森には徒歩で行けなくもないが、私のドレスと靴では歩きにくいし、せっかくオリバー様を待ち伏せして、驚かせたいのに、徒歩で行ったら、お昼になってしまう。

「ソフィアさまはここで待っていてください。」

彼は馬小屋の前に着くとそう言い、馬小屋に入って行った。
私は溜息をつく。
昔はもっと馴れ馴れしくて、普通に名前も呼び捨てにしていたけれど(二人きりの時だけ)、去年の私の誕生日の後から位、今みたいに他人行儀で話すようになった。

「お待たせしました。」

デリックは1頭の馬を連れて来た。

「なんで1頭だけなの?
私だって一人で馬に乗りたいわ!」

「何を言っているのですか、お嬢様。
お嬢様を一人で馬に乗らせるなんてできません。」

彼は失礼しますと言い私を抱きかかえるように持ち上げ馬に乗せて、自分も私の後ろに乗る。

「なんで、前は...」

大人には内緒で馬の乗り方を教えてくれて、一緒に誰が速いか競争したのに...

その言葉は馬の鳴き声で掻き消された。
そう、ソフィアは彼女の言葉がデリックに届いた事も知らずに思った。
そして、その言葉に彼が唇を噛み締めた事も知らない。