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" Memories 回顧録7 "

== 長山都眞子 ==




 私がずっと異性に関して負け戦ばかりだったのは、好きな相手だと
自分を出せないことにつきる。


 だから何も思ってなくて気軽にしゃべってた相手(男子)から
コクられたふうなことは何度かあった。

 そして私は好きな相手だと途端、借りて来た猫のようになるのに
何とも思ってない相手にはかなり鈍感になれるようで、無意識に
相手(男子)を傷つけていたこともある。


 もちろん、その時は知らずにで後から思い返してみると・・と
いうことなのだけれど。


  例えばこんなことがあった。



 
 入社して3年が経とうとしていた頃で
結婚の"け"の字位は頭の片隅にあった頃のこと。



 異性関連に関して言うと、とんと恋愛体質とかからは遠いところに
いた私。デートに誘われたことも皆無。


 ほぼほぼ経験値の無い人間は無敵だった。



 ある日、隣のスペースにいる電気の担当者Y氏からお茶に誘われ付いて
行った時のことだった。



 実はその日から遡ること1週間程前に学生時代の友達と待ち合わせして
お茶をして一緒に帰った日があったのだが、友達とプラットホームにいた時
この件のY氏とばったりホームで会った。


 仕事柄話す間柄でもあり、そのまま3人で同じ電車に乗り
途中まで差しさわりの無い会話をしつつ、Y氏と別れた。
 とまあ、直近でざっとそんなことがあったことが前提で・・。

 お茶のお誘いへと話は流れていき・・。



 このお茶の時も雑談をまぁ、それなりにリラックスして交わしていた。


 すると雑談の流れでといったふうを装って、Y氏が言った。

 「今度、〇〇へドライブに行こう?」

 これはデートのお誘いだよね? ね?ね?


 なのに当時の 経験値の無い無敵の女(私)は誘われたことの意味も把握出来ぬまま
冷ややかに言い放った。