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" Memories 回顧録 6 "


== 長山都眞子 + Y氏 ==




 大は大抵土日は姉の実家である我が家に金曜の午後から預けられていて
とても私の身近なそして愛しい存在となっていったのだけれど、義兄とは
何年経っても距離があった。



 おそらくこういうのは私だけではないのかもしれない。



 どこの家でも義理の関係とは余程馬が合う、環境的に会う頻度が高い
とか、何かないと一般的にはそういうものじゃないのかなぁ。




 あったのか、なかったのか、今もって断言できない自分がいる。


 何度も繰り返すけれど義兄への恋心・・

そんなものは無くてただのちょっとした年上に対する興味だよ、そうそうただの興味
そんなふうに考えて叶うはずもなくどうにもならない苦しさを、自分の弱い心を、守って
いたのかもしれない。


 そう胸の内で思うところもあるけど、どうだろう? 


 あの頃の自分の気持ちを思い起こしてみると、少しおじさまな義兄に
ちょっぴり大人の異性へのあこがれがあったのかもしれない。


 何年経っても私とあの人(義兄)との距離は遠くて、恋愛感情抜きにしても
もう少し可愛がってもらえる存在になりたいとか・・そんなふうなことを
胸の内に秘めていたような気がする。



 年に数えるほどしか我が家へ来ない義兄。

 訪れた義兄の視線の先にいるのはいつも姉だった。



 もちろん姉が義兄をしっかりと尻に敷いていて尻に敷かれた
義兄は、幸せそうに見えた。



 素敵な人(義兄)に愛されてる姉のことを羨んでいたかもしれない。
 当時はそんな悲しい事実に目を背けてたけど。


 
 何もかも私より優れている姉は人生の伴侶までもちゃっかりと
素晴らしい男(ひと)を捕まえて。


 あの頃、そんなカップルを見る度に思ったな。


 私なんて一体全体、どんな男性(ひと)と結婚するのだろうかって。
 考えるだけで憂鬱になってた。


 私だって人並に恋をしたことはあった。
 それがすべて片思いだったとしてもだ。