19.
"Time travel タイムスリップ 10 "
== 安倍 義仁 + (義仁の同僚)若林隼人 ==
俺はその台詞を言っただけで、よけいなことは一切口に
しなかった。
答えにくい事柄にたくさんの言い訳をしても、いい方向には
いかないことをこれまでの人生で経験していたから。
とにかく人というものは否定の言葉というものに対して
何かしら堪えるようにできているのだ。
どんなにこんなことくらいと、自分を鼓舞してみても
最後には程度の差はあれ(ど)否定の言葉に凹まされる
ものなのだ。
だから今日の俺の返答は断りの返答とするならば、満点
だったのではないだろうか。
とにかく考えさせてくださいと、口からこの言葉を出した時
俺の腹は決まっていた・・断ろうと。
・・・
数日後、普段は゛部署が違うので時々しか社食で会うことのない
同期(若林)と一緒になり、俺は話すはずの無かった義妹との再婚話の
顛末を、気が緩んでしまったのか?誰かの意見というか人の反応を
知りたいと思ったのか?つい話してしまったのだった。
「お前さ、才色兼備で申し分のない女性と大恋愛の末
に結婚してたからじゃないのか?亡くなった奥さんが非の打ち所の
無い素晴らしい人だったンだから、そりゃあその辺の普通の女性じゃあ
物足りないわな・・って、おっとっとっと! 奥さんの妹なら・・
義妹は奥さんに似てない・・のか?」
「あぁ、全く。姉妹だと聞かなきゃ、分からないくらいに
全然似てないよ」
「そっか。その言い方だとあれだな、さっき俺が言ったその辺の
普通の女性ってことだな。いい女房持ってたっていうのは
あれだな、再婚はハードルを下げることができないと難しいンだ
ろうなぁ。ははっ、くっ」
「なんだよ、いきなり変な含み笑いなんぞして」
