16.
"Time travel タイムスリップ 7 "
== 安 倍 義仁 + 都眞子の両親 (佐和子・敏夫) ==
彼らの話はとどのつまり、俺ととまちゃんがくっついたら
どうか、という話だった。
言われてみて、そうだよな。
俺たちが結婚すれば大を愛しく思ってくれてるとまちゃんの気持ちも
母親のように彼女を慕ってる大の気持ちも、そして彼らの気持ちも、
まぁるく収まるってわけだ。
愛する孫の大を、仮に俺が別の誰かと結婚したとして、他所の誰とも分からない女に
取られることもなく、ずっと手塩にかけて側でこの先もずっと見ていられるわけで。
しかし、こんなふうに提案されてみてまったく彼らと同じような思考に
至らなかった自分の気持ちを鑑みてみると、答えは出ていたのだった。
誰もが考えておかしくない状況を全く考えたこともなかった時点で
俺の気持ちは・・そういうことなんだよなぁ。
とまちゃんは親父さんが言うようにいい子だと思う。
何より大を大切にしてくれて、有難いと思う。
だけどそれは感謝の気持ちであって恋愛感情じゃあない。
もしあったなら、美保子が亡くなって大の世話をしてもらうように
なってから幾度となく俺の家で大と3人になることはあって、大が3~4才
の頃ならふたりでいるようなものだったし、義両親からの提案なんて
待たず俺たちはなるようになっていたと思う。
子持ちの40男が何をと言われれば、返す言葉は無いけれど
夫婦になるっていうことは、子の親になれればいいってことだけで
割り切れるもんじゃないからなぁ。
特に自分は亡くなった妻とは大恋愛の末の結婚だっただけに
そういう意識が強いので、到底今の気持ちでとまちゃんとの結婚は
考えられない。
気がつくと俺はスラスラと義両親に返事をしていた。
「いろいろと私と大のことを考えてくださってありがとうございます。
ただ、突然のことで・・。即答していいような軽い問題ではないので
申し訳ありませんが少し考えさせてください」
「ええっ、ええええ、判りますとも。一生の問題ですものね。
これは私たちの気持ちで都眞子にも具体的には何も話してないので
義仁さんの忌憚の無い正直な返事を返してもらったらいいと思うわ。
もし断わったとしても都眞子には何も言わないつもりだから
都眞子を傷つけるようなことも無いし、気兼ねなく考えてくれるといいかな」
「はい・・ほんとにいろいろ気遣っていただいて有難く思います」
