12.

"Time travel タイムスリップ 3 "

== 都眞子の両親 (佐和子・敏夫) + 都眞子 ==



 「どちらにしてもあまり都眞子には時間が残されてないわけだ。
どうだろう、なんとか都眞子も義仁くんもプライドを傷つけないよう
細心の注意を払って、我々にできる範囲で両人の気持ちを聞き出して
みようじゃないか」



 「あなた・・。賛成っ! 作戦会議しないとね、私たち」


と言ったものの・・ 作戦会議はほとんど必要なかった。



 そうだよねぇ~、こういう時に夫が出張ってもいいことは何一つ
ないだろうし。

 繊細なことを聞き出す・・っていうのは、やはり女性である私が
適任だからだ。

 だけど最後のラインで義仁さんに確認を取る時は夫に出張って
もらう、ということにした。これが私たちの唯一の会議で話し合った
具体的な内容だった。


 まずはっと、都眞子からだよね。


都眞子に全くその気がなかったらこの話を義仁さんに持って行く必要が
無くなってしまうからだ。



 都眞子を見ていてもこれまで義仁さんを想っているというような
素振りを私の前でこれまで見せたことはなかった。


 だけどなんだろうなぁ~、これって。


 女の感なのか、母としての感なのか、義仁さんからのプロポーズが
あったら、大込々(大のことコミコミ)で考える余地が都眞子には
あるんじゃないかと思えるのだ。



 その心は・・?
 都眞子は大を愛しているから。

 今のところ都眞子に恋人はいないみたいだしね。
 会社と家の往復と̟育児だからねぇ~恋人作る時間などなかったろうから。



 翌日は金曜日で義仁さんが残業で遅くなる日だった。


・・・




寝る時間のこともあって早めに都眞子が大を連れて行って寝かせ
義人さんの帰りを待って入れ替わりに自宅に帰って来た。


 23:00をまわっていた。


 「都眞子、お疲れ様。お茶でも淹れるわね」



 「ありがと、お母さん」





 「大のことがあって都眞子の結婚のことが後回しになってるけど
周りに誰かいい人いないの?」

 私は娘に負担を掛けないように細心の注意を払って聞いた。



「イベント事はここのところほとんど不参加だし、女子会にもあまり
顔出ししてないから、まず縁が無いなぁ~。お母さん心配しないで、
私はイヤイヤ大のことに関わってるわけじゃないから。もう少ししたら
大も1年生だし、3年生くらいになったら一人で私たちの家と自分の家の
行き来もできるようになるだろうし、友達との関りのほうが増えるだろうし
私が必要とされる日もそんなに長くはないかなって思ってる。

 結婚のことはそれからでもいいかなって。このままずっと独身でも
構わないしね。どうしても結婚したいって訳でも無いし。このまま大に
母親になってくれる人が現れなかったら、戸籍上の母親にはなれなくても
気持ちの上での母親でいてあげたいって思ったりしてる。私にとって
それくらい大は大切な存在なの」