それから畳み込むように俊の推しは続く。

ーーもう、このまま話し流しちゃえーー

「あの、私昼には戻らないと。」

「えぇー??キャンセルしちゃいな!」

「無理無理!!仕事ですよ?ダメだって」

そう言うと俊は渋々車を走らせてくれた。

「手貸して。」

ーーまたでた!!ーー

「ん?手??」

「手握りたいから。だって好きなんだもん」

「はいはい~わかりましたよ~

これでいーですか??はいはい」

そう言いながら、少し恥ずかしそうに手を

差し伸べた。ぎゅ~っと強く握る俊の手が

痛く、私の心まで痛かった。

私の車の隣に駐車して、

ーーもう、これでおしまい。二人きりで

会うことはない。とりあえず乗り切ったかーー

「すみません。時間なくて。ありがとう

ございました。では、お気をつけて。」

「ちょっと待って、ちゅーしてい?」

「んあぁ?何ゆってんのー?ダメダメ!

公共の場!てか、そもそも公共の場じゃ

なくても、ダメだから!!もぉ、私いく!」

勢いよくドアを開け、飛び出すかのように

俊の車から出た。

私は車に乗り込み、うつむき加減で

お辞儀をしながら手を振り、その場を離れる。

ちょっと暗い表情の俊だったが、手を振り

返してくれた。


ーーはぁ。終わった。ちゅー??出来るわけ

ないでしょー!!もぉ、やめてーー

自分がコントロール出来なくなる。



車を走らせるのは2車線の道路で、

どんどん周りの車に追い越される。

行く時のあの勢いとは正反対。