「……あっ、食べることは好きです!」
思い出したように言葉を発した衣都。
「たまたま入ったお店が凄く美味しかったらテンション上がりますし、美味しいものを食べた時とか楽しく食事をしている時って幸せですよね!」
少し身を乗り出して話す衣都の様子から、好きの気持ちが溢れている。
「最近のお気に入りは向こうの駅近くにある中華料理屋で、夫婦で営んでいるんですけど、味はもちろん美味しいんですが、温かみのあるアットホームな雰囲気が私は……」
つい一方的に話してしまったことに気付いた衣都は言葉を止め、駅の方向を指していた指をゆっくりと下ろした。
「ご、ごめんなさい。なんかひとりで喋っちゃって……」
恥ずかしそうにうつむく衣都を見ていた響介は、目尻をわずかに下げて口を開いた。
「私も、食べることは好きですよ」
その瞬間、衣都はパッと顔を上げて響介を見つめると、安心したように口角を上げる。
微笑み合うふたりの関係は、夫婦。
だが、ただの夫婦ではない。
ある理由から、結婚したふりをすることになった、〝偽夫婦〟だ。
思い出したように言葉を発した衣都。
「たまたま入ったお店が凄く美味しかったらテンション上がりますし、美味しいものを食べた時とか楽しく食事をしている時って幸せですよね!」
少し身を乗り出して話す衣都の様子から、好きの気持ちが溢れている。
「最近のお気に入りは向こうの駅近くにある中華料理屋で、夫婦で営んでいるんですけど、味はもちろん美味しいんですが、温かみのあるアットホームな雰囲気が私は……」
つい一方的に話してしまったことに気付いた衣都は言葉を止め、駅の方向を指していた指をゆっくりと下ろした。
「ご、ごめんなさい。なんかひとりで喋っちゃって……」
恥ずかしそうにうつむく衣都を見ていた響介は、目尻をわずかに下げて口を開いた。
「私も、食べることは好きですよ」
その瞬間、衣都はパッと顔を上げて響介を見つめると、安心したように口角を上げる。
微笑み合うふたりの関係は、夫婦。
だが、ただの夫婦ではない。
ある理由から、結婚したふりをすることになった、〝偽夫婦〟だ。