蕎麦屋から百メートルくらい進み、一方通行の道を右に曲がる。
通学路となっていて、時間帯によって車両は入れなくなる道路だ。
最初の交差点を右に行くと小さな神社があるのだが、行ったことはない。神社の方へは曲がらず、そのまま進むことにした。
すると、のんびり自転車を押して歩く衣都の目に、脇道が映った。
車なんてとても入れないような、横幅一メートルほどの細い道。
――この道は、さすがに気付かなかったな。
そう思うのも頷けるほど目立たず、また、手前に木が茂っているせいで道の先がどうなっているのかもよく分からない。
気のせいだろうけれど、霧がかかっているようにも見える。
一度は通り過ぎようかと思ったのだが、どうにも気になる衣都は後戻りし、そのまま脇道に自転車ごと踏み込んだ。
その瞬間、うしろから強く吹きつけてきた冬の風に、背中を押される。
怯えながらも、自然と動く足。左右の家屋が日差しを遮り、大通りの騒音を断つ。
知らない場所を歩くのは好きだが、新しい発見があるかもしれないというドキドキとは違う。
どうしてこんなにも胸が躍るのか、衣都は自分でも分からなかった。
通学路となっていて、時間帯によって車両は入れなくなる道路だ。
最初の交差点を右に行くと小さな神社があるのだが、行ったことはない。神社の方へは曲がらず、そのまま進むことにした。
すると、のんびり自転車を押して歩く衣都の目に、脇道が映った。
車なんてとても入れないような、横幅一メートルほどの細い道。
――この道は、さすがに気付かなかったな。
そう思うのも頷けるほど目立たず、また、手前に木が茂っているせいで道の先がどうなっているのかもよく分からない。
気のせいだろうけれど、霧がかかっているようにも見える。
一度は通り過ぎようかと思ったのだが、どうにも気になる衣都は後戻りし、そのまま脇道に自転車ごと踏み込んだ。
その瞬間、うしろから強く吹きつけてきた冬の風に、背中を押される。
怯えながらも、自然と動く足。左右の家屋が日差しを遮り、大通りの騒音を断つ。
知らない場所を歩くのは好きだが、新しい発見があるかもしれないというドキドキとは違う。
どうしてこんなにも胸が躍るのか、衣都は自分でも分からなかった。