ひとつひとつと、冬樹はチョコレートを食べ続ける。
「このチョコ……。チョコなのに、あんま甘くねぇな」
小さく笑って、冬樹が言った。
「……うん! 甘くないのなら、いいでしょ?」
わたしは、チョコの感想を言ってくれるとは思わず、少し飛び上がったけれどすぐに顔をほころばせた。
「まぁな。これくらいなら、まぁ少し甘くてもいいか」
ストロベリーチョコとビターチョコを食べるのは、はじめて、だったのかな。そんな風に喋っているように聞こえた。
「ていうか、ストロベリーチョコとかビターチョコ、今まで食べたことなかったの?」
「1回ミルクチョコ食べただけだからな。そんで、どの味も甘いだろって思って毛嫌いしてたけど、これは悪くない」
なるほど、食わず嫌いだったのか。
けれど、これで来年も再来年もストロベリーチョコやビターチョコをあげられるのか。
「そういえば、甘いのが好きじゃない理由でもあるの?」
「……お前で充分なんだよ」