次の日。わたしはラッピングしたチョコを冬樹の元へ持っていった。



「いや、あの……。俺が甘いもの好きじゃないって分かってるよな?」



まさか忘れたの、と言いたげに彼はわたしを見る。まあ、そりゃあそうだろう。もう付き合って結構経っているし、甘いものが好きじゃないと彼はわたしに言ったんだから。



「一口だけでもいいから」



わたしがそう言うと、冬樹はしぶしぶラッピングしたリボンを外し、ハート形のチョコを出して、ひとつ口に入れた。


しばらく表情も変えないで食べていたけれど、その後に少し驚いたように、彼は目を大きく見開いた。


ひょっとして、やっぱりダメだったかな……?



「……やっぱり、チョコは無理……?」



おずおずとわたしが口を開くと、彼は首を小さく横に振った。



「やっぱり……。お前のチョコは全部食ってやる」



「ありがとう……!」



わたしのチョコは、食べてくれるんだ。
綾菜の言葉を信じてよかった。
冬樹を信じてよかった。