全員分のチョコが完成して冷蔵庫で冷やしてから、1時間以上が経った。
「……なんとかできた」
作り終えたビター味とストロベリー味の2種類のハート形のチョコを見て、わたしは胸をなでおろした。
「優香、少しは自信持ちなよ。彼女が作ってくれたチョコだったら、いくら甘いのが苦手でも大丈夫だってー」
「まあ、そうだといいんだけど……」
「でもさ、優香の気持ちも少し分かるよ。彼氏に苦手なものをあげたいって思う彼女だっていないはずだし」
ハート形のミルクチョコとホワイトチョコをラッピングしている手を止めた奈子が、わたしに同情を寄せるように言ってくれた。
「まあ、そうだけど。優香が作ったのは、どれもそんなに甘くないやつだよ。そういうところで気遣ってくれて嬉しいって、きっと少しは思ってもらえる!」
ばん、とわたしの背中を少し強く叩きながら言った綾菜。
「……うん。冬樹を信じるよ」
彼女の心強い言葉に、わたしはなんとか少しだけ自信を持った。