立ち上がって、冷蔵庫を覗く。冷やし中華。中華料理にでも凝っているのだろうか。
本棚にあった漫画を読んで、気づいたら夕方。
そういえばいつになったら翡翠は帰ってくるんだろう。
リビングで横になって、眠りと覚醒の合間でさ迷っていると、鍵の開く音がした。
「おかえり」
「まだいたんか」
「おかえり」
「“おかえり”ボタンどこだ」
「ただいまは!?」
「……ただいま」
面倒くさそうにしながらも返す。私は起き上がり、キッチンの方へ行く翡翠の後ろ姿を見た。
「今日は早いんだね」
「昨日は職場の飲み会だった」
「いま、何やってるの?」