気持ちを吐露した後、翡翠が熱いコーヒーを淹れてくれた。コンビニのコーヒーとは比べ物にならないくらい美味しい。

「これ、良い豆なの?」
「いや、普通の」

じゃあ私の舌が可笑しいのか。今まで選んで飲んできたコーヒーがまず過ぎたのか。

「本当、翡翠は料理の道に進んで正解だと思う」
「お前は、何の道に進んだんだ?」

尋ねられて、少し考える。

「仕事はね、お菓子メーカーの営業やってたよ。辞めたけどね」
「営業……」
「うん」
「すげえ向いてそうな仕事だな」
「ぴんぽーん。入って二ヶ月で、営業トップ成績を取りました」