目が覚めると、リビングの天井だった。
首が痛い。ソファーで眠ったからだ。
明日から床に敷物でも敷いて寝るか、と思いながら起き上がる。
カーテンを開けて、キッチンの方へ行く。
そもそも、自分の料理が最後の晩餐になるのか?
薬缶に火をかける。それから寝室の扉をノックした。返事はない。
多分まだ寝てるんだろう、と踏んで扉を静かに開けた。
「鵠、ヒーター取ら……」
寝室は静かだった。
鵠は居なかった。
毛布はそのままで、いつ出ていったのか分からない。
玄関に鵠の靴は無かった。
考えるより先に体が動いた。
扉を開ける。鵠を探しに。