家族の話をすることは少なかった。
私は転勤族、翡翠は苗字が三回変わっている。
それが全てを物語っていた、気がしていた。
「……ああ、聞いたのか。三か月は帰ってない」
何でもないことのように、翡翠は言った。
三か月。私と普通に話していた間、翡翠のお母さんはここに帰ってきていなくて、翡翠は一人で生活していたということになる。
私は子供だから、親がいないと生きていけない。光熱費の払い方も、料理の仕方も、ゴミの分別方法も、まだ全然分からない。
「翡翠は、平気なの……?」
「平気?」
苦い顔で下を向いた。