反対に俺は、グループを作ってと言われればどっかであぶれた奴と組むような、そういう人間だった。特別誰かと仲良くしてるわけでもなければ、誰かに嫌われてるわけでもない。

「翡翠クンって鵠と付き合ってんの?」

ふと廊下で尋ねられた。
クラスも知らない、唯一上履きで同じ学年だと分かった男子から。

「違う」
「あ、そうなん? よく鵠といるじゃん」
「同じ……マンションの誼みで?」

我ながら苦しい言い訳。

「へー、なるほど。じゃーね」

なるほど、で片付けられた。深く言及されなかったことにほっとして、俺は廊下を歩いていく。