思ったより強い声で、鵠が言い返したので驚いた。

「……ごめん」

小さく謝る。
鵠もそれに驚いたようにこちらを見た。正面から見ると、本当に綺麗な顔をしている。それは俺にも分かった。

「でもほら、翡翠が本当に嫌ならやめるよ!」
「いや……そうでもないけど」
「本当に!? 言質取ったから!」
「鵠、声が大きい」
「やったー」

にこにこと屈託のない笑顔。
俺の人生で初めて現れた人間だった。





いつ干したのか忘れた洗濯物。
この前食べた弁当パックのゴミ。
埋もれた洋服と、出しっぱなしの扇風機。