「翡翠ってうちと同じマンションに住んでるよね」 二年の最初の席が、鵠の前だった。 朝のホームルームが始まる前に、後ろから話しかけられた。 鵠は明るい奴だった。常に周りに人がいて、よく笑っていた 色白で美人で、手足が細長い。聞けば何度もモデル事務所からスカウトを受けているらしい。 そんな奴が同じマンションに? 「……まじ?」 「大まじ」 「知らなかった」 「だよね。私も今朝知った」 担任が入ってきて、教室内が静かになる。 同時に声を潜めた。