私の1番嫌な記憶。
いつも夢に出てきてうなされる。
あれは、私が小学校に入る前の出来事だった。
早くに母を亡くし、父は私を大事に育ててくれた。
デパートにランドセルを買いに行った帰り道、交通事故に遭い、父は私を置いて逝ってしまった。
「ヤダよ。お父さん!一緒に天国に行こうよ!」
燃え盛る車内の中。
死を覚悟した私は、必死に叫んだ。
でも、父は否定した。
「ダメだ。お前には、まだ長い人生があるんだ。だから一緒には、行けないんだよ・・・・・・。」
この言葉を最期に父は事切れた。
「お父さん!お父さん!!」
煙が増し、息が苦しくなる。
『生きたいか?』
「え・・・・・・?」
そこには、お父さんじゃない別の男の人がいた。
「今なら1つ望みを叶えてやる。」
「・・・・・・生きたい。助けて。」
その後、駆けつけた消防隊員によって救助され、私だけが生き残った。
あの男の人もいなくなっていた。
私は、天国には行けなかった。