大学
雫は大学の門を出て竜二がいつも停める場所へ向かった
白い高級車が停まっていた
(あれかな?)
雫が近付いて行くとドアが開いた
「こんにちは、雫ちゃん」
雫に名刺を渡す
「初めまして、若宮雫です」
「どうぞ」
助手席のドアを開けてくれて、雫は車に乗った
(竜二さんも最初車のドア開けてくれたっけ、行動が同じだ)
兄が運転席に座る
「わざわざすみません」
「構わないよ、今は暇だから(笑)」
「竜二さんにもいつも迷惑かけてしまってます」
「いいんだよ、あいつは好きでやってるんだから申し訳ないと思うより可愛く笑ってありがとうっていってあげる方が喜ぶよ」
「そうですか?」
「うん、竜二は頑固だからね。自分が思った通りにしてあげた方が喜ぶよ」
「そうなんですね(笑)じゃあありがとうございます」
雫はニコッと笑ってお礼を言う
「俺?頑固じゃないよ」
「でも、私を送ってくれるって言ったんですよね?竜二さんお兄さんには逆らえないって言ってました。似てるのかなって」
「あー、まーそうだな。似てない……いや、似てる……とこもあるかな(笑)」
「あの、お兄さんは竜二さんといくつ違うんですか?」
「二つだよ、大学も一緒だった」
「そうなんですね、土居さんから仲が良かったと伺ってますが一緒に住んでたんですか?」
「いや、別々。俺は勉強ばっかしてたから、竜二がいると勉強にならない。うるさくて(笑)」
「うるさいんですか?でも確かに竜二さんはよく話しますね。仕事柄かと思ってました」
「お互い彼女もいたし、邪魔だろ?竜二はモテたからな」
「そうみたいですね。カッコいいので仕方ないです。今さら美咲さんにヤキモチ焼いてもしょうがないですけど……竜二さんのお仲間ですから」
「美咲ちゃんのこと知ってるんだね。でも今は雫ちゃんにゾッコンだけどね。顔つきが変わっててびっくりしたよ。一年くらい会ってなかったから」
「昔の顔はわかりませんが竜二さんは甘えん坊ですね」
「そうだね、俺にも甘えてくるね。母さんが仕事を始めたのが寂しかったみたいだよ」
「佐和子さんが……」
「母さんのこと、名前で呼んでるんだ」
「はい。でも、佐和子さんもヨガ頑張って教えてて凄いと思います」
「竜二が小学校上がってからかな、ヨガにどっぷりはまってね、母さんは社交的で外に出たい人だったから……俺は特に思わなかったけど、竜二はねー、だから家庭的な雫ちゃんが好きになったのかなー」
「私はただ家事が好きなだけですよ」