雫の部屋

「遊びだったのかな……」

携帯を眺める

(あれから電話もメールもこない……忙しい人だということもわかってる……けど真中さんのこと信じていいんだよね。お話するの楽しかったしこの間のことは夢ではないよね……)



金曜日に竜二からやっとメールが入る


‘ごめんね、中々連絡できなくて、明日の昼にランチでもどうかな?’


雫はすぐに返信する


‘はい、大丈夫です’

‘じゃあ迎えに行くよ、家出る時にもう一度連絡入れるね’

‘はい’
(やっときた、嬉しい)


雫は携帯を何度も読み返していた




次の日の昼、おしゃれなカフェ

「三沢店の後の二店舗がなかなか個人面接が終わらなくてね、勤務体制がバラバラだし土日だけ出勤の人とかいてずっと休みがとれなかったんだ」

「えっ、じゃあ一ヶ月お休みしてないってことじゃないですか」

「あー、まあでも間が三時間あいたり、午前で終わったりだけど雫ちゃんを誘ってて時間推してキャンセルするのも嫌だったから連絡できなかった。ごめんね」


竜二はそう言うと食事を口に運ぶ


「顔色よくないですよ?寝てたほうがよかったんじゃないですか?」

「んーでも雫ちゃんに会ったほうが元気になるような気がして……ゴホン」

「連絡なかったからやっぱりからかわれたのかと思ってました」

「ごめん、連絡したら会いたくなっちゃうから……心配だったよね?」

「いえ、仕事なら仕方ないです」



(真中さんは大人だ。ちゃんと仕事とプライベート分けてる。メールだけでもって思ってた私はまだまだ子供だ。それに真中さんが仕事終わった時間に私はバイトしてるんだから真中さんも気をつかっていたのかも……)


二人は食事を終えて店を出た

「これからどうする?」

「あっ、私バイトの前に少し用事があるんです。真中さん今日は帰ってゆっくり寝てください」

「わかった、じゃあゆっくりさせてもらうよ」

(しんどそうだもんね)



竜二は雫をアパートまで送っていく


「ごちそうさまでした」

「じゃあまた」

「はい」



竜二は次の約束もしないまま帰っていった

雫はバイト先に行く



サクラスーパー三沢店

「あれ、若ちゃん、今日は先に買い物するの?」

レジに行くとパートさんに話しかけられた

「はい、お疲れ様です、調味料とかなくなってきたんで、今日は先に買って一度片付けてからまた来ます。」



(今日、真中さん咳してた。風邪ひいてる、時々喉おさえてたし、明日電話してみよう。あの部屋、何もなかったから、あっ、一つお鍋買っておこう)

雫はたくさん買い物をして荷物を一度家へ運ぶ